情報公開・個人情報保護制度
情報公開・個人情報保護制度のご案内
個人情報保護制度のご案内 (PDFファイル: 165.6KB)
情報公開制度における「説明責務」と「木更津市情報基本条例」の制定
情報公開制度における「説明責務」と「木更津市情報基本条例」の制定について、情報公開・個人情報保護審議会から答申と意見の募集結果をお知らせします。
はじめに
木更津市情報公開・個人情報保護審議会は、平成14年7月25日に木更津市長から情報公開制度における「説明責務」について諮問を受けました。
諮問を受けてから4回の審議会と2回の答申案起草のための小委員会を開催し、他市の制度等を参考に木更津市の情報公開制度における「説明責務」について積極かつ慎重に審議検討を進めてきました。
説明責務については、市政は市民の「信託」を受けて行われるものであり、市はその行動について市民に説明ないし釈明する責務を負うという原則を再確認するとともに、情報化の進展に伴う行政情報の積極的活用を推進するため、情報公開条例、個人情報保護条例、審議会等の会議の公開に関する条例などさまざまな市の情報施策の基本的枠組みと基本理念を明らかにすべきであるという結論に達しました。
そのためには、個別条例の上位概念としての『木更津市情報基本条例』の制定を念頭におき審議を進め、検討過程では、各委員から広範多岐にわたり議論が展開されましたが、各委員の熱意と努力により意見が集約され、ようやく本書のとおり答申をとりまとめることができました。
当審議会としては、この答申の趣旨を踏まえて更に十分な検討を加え、できるだけ早く木更津市における情報施策の基本的枠組みと基本理念を明確にする条例を制定することを期待するものであります。
平成15年2月18日
木更津市情報公開・個人情報保護審議会
会長白石哲也
総論
1.基本的な考え方
情報通信技術の飛躍的発展に伴い、その活用を図り、市民生活、行政分野における情報通信技術を活用したまちづくりを推進するため、従来の情報公開条例、個人情報保護条例、審議会等の会議の公開に関する条例等の、各種の情報公開施策(条例等)の上位規範として、それらの指導原理を明らかにするとともに、情報化の進行に伴う基盤整備が個人等の権利利益を不当に奪うことのないよう、市の情報施策の基本的枠組みと基本理念を明らかにする条例を策定すべきである。
木更津市では、平成10年12月に「木更津市基本構想」が策定され、さらに、平成14年3月に「木更津市地域情報化計画」が策定されている。
「基本構想」では、「開かれた市政の推進」が掲げられ、その理念の下に、市民等の請求による情報公開制度としての「木更津市情報公開条例(平成6年木更津市条例第22号)及び当該条例を廃止して新たに制定した、木更津市情報公開条例(平成12年木更津市条例第4号。以下「情報公開条例」という。)」、本人の個人情報開示制度を含む「木更津市個人情報保護条例(平成11年木更津市条例第4号。以下「個人情報保護条例」という。)」を制定し、また、政策形成過程の透明度をより高めるために県内に先駆けて「木更津市審議会等の会議の公開に関する条例(平成14年木更津市条例第21号。以下「会議公開条例」という。)」が制定されてきた。
「木更津市地域情報化計画」に示された、情報化による地域活性化、生活市民分野における情報化、行政分野における情報化の推進は、情報通信技術の活用によるまちづくりを推進させ得るものであると同時にさまざまな情報基盤環境の整備と情報公表、情報提供制度等、広義の情報公開制度の整備により、市民に対する情報提供サービスの充実、ひいては市政に対する市民参加の促進を促すものでもある。また、情報化の進展は、従来意識することの少なかった、個人情報・法人情報や行政情報の積極的活用を推進するものでもあり、そこにおける「情報の保護」や情報化に対応した管理情報の適正な管理が求められることはいうまでもない。
このため、情報公開条例や個人情報保護条例等個別条例を包括し、かつ技術的環境整備と調和のとれた指導原理を明らかにすることが必要であると考えるものである。
2.情報公開制度の総合的推進
広義の情報公開制度は、総合的に推進・発展されるべきものである。
国の行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号。以下「情報公開法」という。)第40条は、『政府は、その保有する情報の公開の総合的推進を図るため、行政機関の保有する情報が適時に、かつ、適切な方法で国民に明らかにされるよう、行政機関の保有する情報の提供の施策に関する施策の充実に努めなければならない』と定め、また、情報公開条例第27条は、『市長は、実施機関が保有する情報の総合的な推進を図るため、その管理する情報の提供に関する施策の充実に努めるものとする。』と定めている。
これらの規定は、情報公開窓口の整備や専門的知識を持つ職員の育成等とともに、情報の提供に関する量的・質的な向上を図るとともに、市民等に対する広報活動の充実その他情報通信機器等の活用の充実・改善を図ることを求めるものでもあるが、情報基盤の整備の進捗に応じて、
- 市のホームページなどによる情報の義務的公表制度の整備
- 市のホームページなどによる情報の任意的公表や申し出による提供制度の整備
- 市民等からの適切な意見聴取の手続の確立
- 請求による情報開示制度の見直し
- 個人情報保護制度の一層の整備
- 行政(市)以外の個人・法人等による情報の取り扱いについての準則の整備
- 市民等からの積極的な建議、提案等の受け入れ
- 情報の保管、保存、整理等情報の適正な管理
などの制度整備を進めることが必要である。
ここにおいては、常に、市の財政状況との関連や、社会環境の変化や通信技術の進展に伴う情報環境の変化に配慮する必要がある。すなわち、技術の進歩に法制度が立ち遅れることは市民等の権利擁護の観点からも許されず、また、技術の進展のみが他の社会環境整備を置き去りにして進むことも許されないとの認識の下に、調和のとれた情報公開制度の総合的推進が求められるものと考える。
そこで、市が、これまで取り組んできた情報開示施策をさらに発展させるとともに、情報取得のための制度の整備と、それを支える情報環境の整備を、統合的に進展させるための基本的枠組みと基本理念を定める条例の制定が必要であると考えるものである。
(注意)狭義の情報公開制度は、いわゆる情報公開条例に基づく請求による開示制度をいうが、ここでいう情報公開制度は、広義の情報公開制度をいい、情報の公表・提供、請求による開示、会議の公開、外郭団体等の情報公開制度などを含む広い概念である。
3.説明責務・知る権利
基本理念として、市民等に対する説明責務の観点が知る権利の理念を尊重するものであることについての認識を明らかにすることが必要である。
市政が、主権者としての市民の信託を受けて行われるものである以上、市がその諸活動を、市民に対して説明する責務を負うことは改めて説明の要がない当然のことである。
この「説明責務」の法概念は、情報公開法や中央省庁等改革基本法、行政評価法等において用いられることによって、次第に明確になりつつあるが、個別制度(条例)においては、結果として「説明責務」の内容・範囲を限定することになり、また、個別制度(条例)において「説明責務」が明記されることによって、かえってその範囲が限定的に用いられるという現実が生まれていることも事実である。
このため、市の条例は、抽象的概念としての「説明責務」の法概念を個別条例において採用することについては、消極的であった。
いうまでもなく、情報公開請求制度や請求を待つまでもなく行う「公表」制度、また、法的手続をとるまでもなく市民等の申し出に応じて提供可能な情報を「提供」する制度、審議会等による政策形成過程を公表する会議公開制度等は、相互に補完しつつ説明責務を果たすものであるが、加えて必要な情報は、窓口の口頭で、あるいは図書館や行政情報コーナーでの閲覧等さまざまな方法で取得し得るものであり、それらが説明責務に基づかないものであるわけでもない。
しかし、市の情報政策の理念を定める基本条例においては、これによって抽象的責務としての「説明責務」の存在を明確にすることによって、この基本理念を確認すべきであると考える。
なお、情報公開制度の運用に当たっては、行政の解釈は、公開について消極に解すべきではない。
もとより、その理念の具体化は、請求による情報開示(個人情報保護条例による本人開示請求)制度や、会議公開条例、出資法人の情報公開制度、さらには情報公表制度等さまざまな個別制度によって具体化されるものであるが、それらは、この理念に基づいて整備が進められるべきことを求めていくことが必要であると考える。
「知る権利」について、小委員会の委員の中からも明記すべきとの強い要望があった。
「知る権利」については、権利という言葉から具体的な権利という誤解を生じやすいところであるが、条例が地方公共団体のもつ「条例制定権」に基づいて制定されるものであり、開示請求権等の具体的な権利は「条例」によって創設するものである以上、最大限でも「憲法の理念に含まれ得る権利」の具体化という位置付けにとどまるものであり、「地方自治の本旨」や現在の裁判所の判例によれば、「市が、市民等に対して創設した『知る権利』」という位置付けにとどまらざるを得ない。
しかしながら、知る権利の理念を行政側から表現しているのが「説明責務」であることに鑑み、例えば、本条例の前文等において、知る権利の理念を尊重することを明らかにすることは意味があるものと考える。
4.個人情報保護制度との融和
個人情報保護の視点に最大限の配慮をすることが必要である。
情報公開制度の総合的推進には、個人情報の保護の視点を欠かすことができない。
本市は、既に、市の保有する個人情報の収集、利用、第三者提供、保管等の適正な取扱いの確保とともに、市の保有する個人情報の開示、訂正及び削除を請求する権利を定める個人情報保護条例を制定しているところであるが、他方、介護保険制度等、必ずしも個人(本人)と家族などを峻別しない法制の出現や、国民健康保険制度・生活保護制度の取り扱うレセプト(診療報酬明細書)等、一般行政情報とは異なる対応が求められる個人情報は少なくない。
例えば、介護保険制度の運営は、本人情報について介護する家族における情報の共有が不可欠であり、厳格な個人情報性を維持することには困難が伴う。また、成年後見制度の活用や各種の社会的弱者保護のための支援制度においては、適切な管理体制の下に、個人情報の有機的活用が求められる場面がないわけではない。
しかし、他方、私人間の情報利用が推進された場合における個人情報の商業的利用や流通についても、行政機関における個人情報保護の取り扱いと同様、個人の権利利益の保護の強化が求められることもまた言うまでもない。
したがって、いわば「知る権利」の強化に対応した「知られない権利」についての慎重な配慮が、より一層必要になるものと考えるものである。
各論
1情報の公表制度
情報公表制度の確立と市の基本的な情報についての義務的公表制度について検討すべきである。
市が管理(保有)する情報のうち、1.市政運営の基本方針、2.基本的な行政計画、3.主要な事務事業の概要、基本的な条例類、4.予算・決算等市民の負担する租税の使途についての基本的部分、などについては、請求や申し出を待つまでもなく、積極的に公表すべきことは論を待たない。このため、市のホームページや出版物による販売、市政情報コーナー等による閲覧等により市民が情報を取得し得るよう、積極的な公表を図るとともに、公表しなければならない情報についての具体的な基準を設けるべきことを明らかにすべきである。
とりわけ、情報通信技術の進展は、古くから行われている紙媒体による広報や図書館などへの配置、掲示その他の方法による公表から、ホームページ利用による大量の情報の公表や、迅速な公表を可能にするものである。
したがって、情報の公表制度の整備、義務的公表事項について、市の責務を明らかにし、これを推進する必要があると考えるものである。
(注意)ここに「基本的な」という表現を使っているものは、限定的な解釈とすべきでなく、できうるかぎり幅広く解すべきである。
2情報の提供制度
市民等の申し出による情報の提供について、恣意的な運用がなされることがないよう配慮し、開示請求権の行使を待つまでもなく、市民等が市の情報に接することができるよう検討すべきである。
義務的に公表すべき情報ではないとしても、市民からの情報取得の要求や、請求権を持たない市民以外の者からの要請によって、かねてより一定の情報が任意に提供されており、そのことは開かれた市政の推進に有意義である場合があることはいうまでもない。
また、請求による開示制度が、ややもすれば、かつては簡易に取得できた情報の取得を困難にさせ、また無用な手続を招来させていることは、県や市町村の運営に散見されるところでもある。
もちろん、任意・恣意的な提供によって、市民等の間に情報格差を生じさせてはならず、また、本来不開示とすべき情報が不当に流出することがあってはならない。
したがって、文書管理の適正を図ると同時に、本来、申し出に応じて提供し得る情報については開示請求権を待たずして、適正に提供し得るルールづくりが必要であると考えるものである。
このことは、例えば、申し出に応じて提供し得る情報については、行政資料コーナー等への配架による対応の一層の充実や、提供の要望の多い情報についての印刷・刊行等による公表制度への移行を促進するものであり、かかる提供制度によって、請求による開示制度にかかる無用な事務負担が軽減され得るものでもある。
3請求による開示制度
情報公開条例について、情報化の進展や社会の諸事情の変化に対応して、より市民等が権利として情報を取得し得るよう、配慮することが必要である。例えば、営利・商業等利用を目的とする開示請求と、開かれた市政の推進に寄与し得る開示請求が混在している現状などもあり、どのような請求による開示制度であるべきか、より検討を進めるべきである。
本来、市民の必要とする情報は、請求による開示制度によるまでもなく、公表や提供によって取得できることが望ましい。
したがって、請求による開示制度は、本来、特定の個人、団体等が一般には公表あるいは提供されない情報についての開示要求に応じることを制度化するものである。
しかし、請求に対しては、一般に提供され得ない情報であるところから、個人の権利利益は法人等のもつ社会的権利利益との調整も必要な場合があり、また、請求者が他のものの犠牲の下に利益を受けることが不当であると考えられる場合、さらには社会秩序の維持に影響を生じさせる場合等もないわけではない。
我が国の情報公開(開示請求権)制度は、わずか4半世紀の歴史を持つにすぎず、その間の社会状況も流動的である。例えば、請求権者の範囲や不開示とする範囲、電子情報への対応、部分開示のあり方、開示請求の手数料等、継続的な検討が必要である問題が少なくない。
したがって、いったん制度(条例)が制定されたことに安住せず、常に制度がどのようなものであるべきかの検討を続け、市民にとって必要な情報が取得しやすいものであるとともに、個人や団体等の権利利益との調和のとれた制度運営ができるよう制度を整備すべきであると考えられる。
4会議の公開
市の政策形成過程の透明度を、より向上させるよう、市の会議公開制度の整備を続けるべきである。
市においては、会議公開条例を県下に先駆けて制定したところであるが、市の内部会議の公開の問題をはじめ、会議予定の事前公表、議事録の作成、配布資料の取扱等、さらには非公開とする場合の手続・基準等、運用面での検討や情報通信技術や基盤整備の進展に伴う新たなる会議公開の制度(ライブの配信等)など制度の更なる整備が必要な部分は少なくない。
したがって、会議の公開制度によって、市の説明責務が全うされるよう、制度整備が続けられるべきである。
審議会等は、会議に市民の意見が反映されるよう、例えば、パブリック・コメント手法を検討するなど、広く市民の意見等を吸収し、市民などの市政参加を促進し得るような施策の推進を図るようにすべきであると考える。
5外郭団体などの情報公開
市の出資法人は、更に一層の情報公開の推進に努めるべきであり、補助金受給団体等は、公金の使途についての情報公開に努めるべきである。
情報公開法第42条は、独立行政法人や特殊法人の情報公開が推進されるよう必要な措置を講ずるものとし、情報公開条例第28条も「市が出資する法人のうち市長が別に規則で定める法人は、この条例に基づき実施機関が行う情報の公開に留意しつつ、情報の公開に関し必要な措置を講ずる責務を有する。」と定めている。
現在、市の出資法人のうち、財団法人水道サービスセンターを除く、財団法人木更津市民会館は情報公開制度を整備しており、土地開発公社については、市の条例の実施機関に含めることが検討されているところである。
一方、各種補助金の受給団体等について、税金の使途として交際費の使途とともに重大な関心をもたれるところであるが、市の収受し管理する文書を除き公開の対象にはなっていない。
もちろん、これらの団体等は、市の行政とは独立した存在であり、その自主性が尊重されるべきことは言うまでもなく、そこでの個人情報の保護措置や当該団体の権利の保護が必要であることは言うまでもないが、少なくとも税金の使途としての補助金については、その透明性は最大限に確保されるべきである。なお、補助金制度のあり方については、行政改革推進本部等において検討が必要であると考える。
これらを含め、情報公開推進の視点に立った、継続的な取り組みが必要であると考えるものである。
6個人情報保護制度の拡充・整備
市は個人情報保護の理念に則り、市の管理する個人情報の保護制度のより一層の整備を続け、出資法人及び補助金受給団体は、個人情報保護の理念に則り、その管理する個人情報の保護に努めるべきである。
情報化の進展に伴い、個人情報保護の必要性はより高まっている。
- 市の機関については、既に個人情報保護条例が制定・施行されているところであるが、市内部における取扱いは必ずしも十分とはいえず、とりわけ、本人情報についての家族等からのアクセスの要請は、個別具体的事例に対する対応が要求される場合もあり、より明確な基準の策定の必要がある。
また、同条例第30条が「市が出資する法人のうち市長が別に規則で定める法人は、この条例に基づき実施機関が行う個人情報の保護に留意しつつ、個人情報の適正な取扱いを確保するため必要な措置を講ずる責務を有する。」と定められているにもかかわらず、現在出資法人における個人情報保護制度の整備は全く進捗していない。
また、個人情報保護条例制定時に、対象情報の特性や開示制度の整備のため、当面暫定的に適用を除外した、国民健康保険及び老人保健に係る診療報酬明細書等、生活保護法医療券及び診療報酬明細書等に関しては、権利性を否定する要綱行政が継続されており、必ずしも適切な個人情報保護が図られる制度が確立されているとは言えない。
両要綱は、前述の「情報提供」制度と位置付けられるものであり、個人情報保護条例の附則による適用除外の廃止による開示請求制度の確立が急務である。
また、補助金受給団体も、税金による補助を受ける以上は、市の制度に準じた個人情報保護措置をとるべきであると考える。 - 情報基盤整備に伴う、電磁的情報として情報の公表、提供などの情報公開の進展に対し、電磁的情報の複写、配信の容易さなどの特性を認識し、外部からのアクセスに対する個人情報などに対する技術的セキュリティ、不当な外部への情報漏れ、その他データの書き換えなどさまざまな支障のおそれがある場合の接続を切断の措置も含め、情報化の進展に伴い、さまざまな個人情報の保護を強化する必要性があり、情報化の進捗に応じた、個人情報保護制度の整備が一層進められるべきものであると考える。
基盤整備
1適正管理
市は、その管理情報を公表、提供、請求による開示に対応できるよう、その作成又は取得時において分類し、その適正な管理に努めるとともに、管理情報の分類、作成、保存及び破棄等に関する明確な基準を設けるべきである。
本来、市の管理情報は、その作成又は取得時に、公表、提供、請求による開示のいずれにより対応すべきものか検討されるべきである。
そのことによって、市民等の請求あるいは申し出に対し迅速な対応が可能となり、また積極的な情報公開が促進されるものと考える。
市の管理する情報は、市民等が積極的に市政に参加するための基本的情報であると同時に、市民等がさまざまな目的により活用し得る情報でもある。
このため、情報化の推進に伴い市の管理する情報は、市民等が直接検索・利用しやすいよう整備されるべきであり、将来にわたって利用できるよう保存されるべきものである。
同時に、個人情報保護の観点や保存のための財政負担をも考慮し、破棄については明確な基準を設けるべきである。
これらの規程の整備に関しては、文書管理規則等の内部規定によるほか、文書管理条例の制定など、より明確・客観的な制度にしていくことが望ましいと考える。
2条件整備
市は、情報公開が総合的に推進されるよう、組織、施設その他管理情報の公開に関して、必要な条件の整備に努めるべきである。
また、情報の電子化を図るにあたり、市民等からの積極的な建議、提案等を求め、その情報の一層の活用が図られるよう努めるべきである。
まず、市民等が市の管理情報を取得しやすいよう、ホームページによる請求書の取得や提出を可能にできるよう検討すべきほか、管理情報リストの電子情報化、公民館等への市民の情報取得端末の設置等が望まれる。
また、情報の電子化により、従前の紙ベースでの管理スペースの制限等による破棄基準を改め、長期保存を図るべきである。
これらの市民等の要請に対応できるよう、総合窓口の整備・拡充、各部局における専門的知識を持つ職員の育成・配置、一般職員に対する研修体制の整備が必要である。
さらに、総合的な情報公開の推進の要請は、市から市民等に対する一方的な情報の流れにとどまらず、市民等からの積極的な建議、提案等を必要とするものである。
情報通信技術の活用は、情報の双方向性の流れを促進し得るものであり、市民等からの積極的建議、提案、更には情報の提供を可能にするものである。
したがって、例えば、パブリック・コメント手法を検討するなど、広く市民の意見等を吸収し、市民等の市政参加を促進し得るような施策の推進を図るようにすべきであると考える。
ただし、庁内LANやその外部接続、電子申請施策の採用、電子掲示板等の基盤整備においては、個人情報の保護や情報の財産的価値に十二分に配慮し、その管理責任の明確化など、条例に基礎を置いた権利保護制度の採用が必要である。
3情報公開を総合的に推進する審議会の設置備
現在の情報公開・個人情報保護審議会は、情報公開の総合的推進等の具体的方策に関する諮問等に応じられるよう、発展・改組すべきである。
現在の情報公開・個人情報保護審議会は、情報公開条例に基づく「情報公開審議会」として発足し、市の諮問に応じ、個人情報保護条例、会議公開条例の制定等の答申を行い、その所管事項を増加させつつ、市の各種諮問に対し審議を行い今日に至っている。
他市に例が見られる、個別条例単位で審議会を設置する方法を採用しなかったのは、広義の情報公開問題は、個別制度の相互関連を有するものであり、総合的な視野からの検討が必要であることに主な理由があり、今後生じ得る、さまざまな情報問題に対応し審議・検討を行うためには、継続・一貫した視野での組織が必要であると考える。
そのような観点から、現在の情報公開・個人情報保護審議会を情報公開の総合的推進等の具体的方策に関する諮問等に応じられるよう、制度を発展・改組すべきである。
なお、同審議会の委員は、法制、情報の専門家のみならず、各事業・産業分野、年齢等さまざまな立場にある人材によって構成される必要があり、同時に広く市民の意見を反映し得るものであることも求められる。したがって、委員の人選は可能な限り多岐にわたること、また、公募による委員枠の拡大が要請されるものと考える。
4制度の周知
情報公開制度、個人情報保護制度、会議公開制度等、個別の制度はもとより、情報公開の総合的推進にかかる内容について、より一層制度の周知を図るべきである。
請求による情報開示制度は、特定の個人・団体等によって利用され、広く市民等が市管理情報の活用のために利用していない現実がある。
このことには、さまざまな理由が考えられるが、市としては公表情報、ホームページの拡充、公共施設への機器の設置などの活用を含め、市民等の積極的な利用・活用を促進し、同時に市民等からの意見聴取(収集)や提言の場を確保し得るよう、制度の周知が図られるべきものと考える。
資料
(1) 木更津市情報公開・個人情報保護審議会委員名簿五十音順(15名以内)
氏名 | 役職 | 備考 |
---|---|---|
梅澤千加夫 | 木更津市農業協同組合 | |
江尻澄 | 木更津市7漁業協同組合連絡協議会 | |
管野弘美 | 公募委員 | |
近藤忍 | かずさ青年会議所 | |
小林伸一 | 副会長 | 清和大学助教授 |
白石哲也 | 会長 | 弁護士 |
清水幸雄 | 清和大学教授 | |
鈴木音彌 | 木更津市社会福祉協議会 | |
堤一之 | 弁護士 | |
鳥飼幸夫 | 木更津市人権擁護委員協議会第一部会 | |
永嶌由利 | 木更津市PTA連絡協議会 | |
永松裕子 | 公募委員 | |
西勝義 | 木更津市議会 | |
安田敬 | 木更津市退職校長会 | |
吉田宣男 | 木更津市商工会議所 |
(注意)平成14年9月20日時点の委員
(2) 答申書起草小委員会名簿五十音順(5名以内)
氏名 | 役職 | 備考 |
---|---|---|
近藤忍 | かずさ青年会議所 | |
白石哲也 | 委員長 | 弁護士 |
清水幸雄 | 清和大学教授 | |
永嶌由利 | 木更津市PTA連絡協議会 | |
永松裕子 | 公募委員 |
(注意) 平成14年11月22日、平成14年度第4回情報公開・個人情報保護審議会において、提案・承認されて設置
(3) 答申までの審議経過
開催日 | 会議名称 | 審議内容 |
---|---|---|
平成14年7月25日 | 平成14年度第2回情報公開 個人情報保護審議会 |
諮問 |
平成14年9月20日 | 平成14年度第3回情報公開 個人情報保護審議会 |
情報公開制度における「説明責務」について |
平成14年11月22日 | 平成14年度第4回情報公開 個人情報保護審議会 |
情報基本条例の制定について検討 |
平成14年12月9日 | 第1回答申書起草小委員会 | 情報基本条例の制定について検討 意見募集の実施について検討 |
平成14年12月20日 | 平成14年度第5回情報公開 個人情報保護審議会 |
情報公開条例の制定について検討 意見募集の実施について検討 |
平成15年1月30日 | 第2回答申書起草小委員会 | 意見募集の結果報告について検討 『情報公開制度における「説明責務」について-情報基本条例の制定について-』答申案検討 |
平成15年2月3日 | 平成14年度第6回情報公開 個人情報保護審議会 |
意見募集の結果報告について検討 『情報公開制度における「説明責務」について-情報基本条例の制定について-』答申案検討 |
意見の募集結果
「情報公開制度における「説明責務」について-情報基本条例の制定に向けて-(答申案)」に対する意見の募集結果について
平成15年2月28日
木更津市情報公開・個人情報保護審議会
会長白石哲也
木更津市情報公開・個人情報保護審議会では、市長からの諮問を受け「情報公開制度における「説明責務」について-情報基本条例の制定に向けて-」として答申を行うこととし、その答申案について、平成14年12月25日から平成15年1月24日までの間、意見の募集を行いました。
その結果、貴重なご意見を4名の方から頂きました。お寄せいただいたご意見やご質問の概要とそれらに対する審議会の考え方について、下記のとおりとりまとめ、併せて情報公開制度を運用している木更津市の考え、専門的知識を持つ専門委員の説明を加え、下記のとおり整理しましたので、公表いたします。
とりまとめの便宜上、内容により適宜集約させていただいております。
今回ご意見をお寄せいただきました方々のご協力に厚く御礼申し上げます。
1意見の件数
- 意見提出数4件(内訳:電子メール3件、持参1件)
- 延べ意見数7件(賛同意見を除く。)
2頂いたご意見とそれに対する審議会、木更津市の考え方及び専門委員の説明
- 重要な部分での抽象的表現は避け、具体的表現にするか、それを補うべきである。抽象的な表現では、行政の解釈により公開に対して消極に実施されることが懸念される。という意見について
(審議会の考え)
解釈に裁量を与えるような抽象的な表現では、行政の解釈により公開に対して消極に実施されることが懸念されるとのご指摘ですが、この答申案による情報基本条例は、市における広義の情報公開制度(情報の公表、提供、請求による開示、会議の公開、外郭団体などの情報公開)の基本的な理念と枠組みを定めるものであって、具体的な施策は、個別の条例によって実現されるものであると考えます。
答申案は、条例の条文そのものを提示するものではないことから、審議会としては、基本的な条例の枠組みと理念についての指摘に留め、情報基本条例の制定、個別具体的な情報公開の制度の制定・改正に当たっては、この答申の内容を踏まえたより具体的な表現がなされるものと考えています。
なお、個別具体的な制度における、情報の公開にあたり行政の解釈により消極に解されることのないよう、
(木更津市の考え)
木更津市の広義の情報公開制度としては、情報公開条例の請求による開示制度、個人情報保護条例の自己情報の請求による開示制度、会議公開条例の審議会等の公開制度などの他、市のホームページ、広報、市役所の2階の行政資料室における市の情報の公表などさまざまな制度があります。
例えば情報公開条例の運用にあたっては、情報公開条例第7条により個人情報などの非開示とすることができる情報と情報公開条例第8条により法令の規定などにより開示することのできない情報が明らかにされており、それらの情報を除き全ての情報を開示しております。
このように、制度の運用に当たっては厳格に解釈しているところですが、この答申を最大限に尊重し、より一層、情報の公開に取り組むよう努力いたします。 - 情報化という言葉はどこから用いられた言葉かという質問について
(木更津市専門委員の説明)
「…化」は形や性質がかわること-を意味する日本語です。したがって、個別の知識や事実が第三者にも利用可能な「情報(News,Information)」に変化することを「情報化」と言います。この用語の初出はわかりませんが、通信技術の発達・普及に伴って、という意味なら国際的には19世紀半ばから慣用的に使われており、我が国でも昭和50年代から「高度情報化」「情報化社会」といった使い方をされています。他方、デジタル通信の利用のみを指す使い方等もないわけではありません。 - 『電磁的情報』というものの扱いは、『紙の書類』と同様のものという考えかという質問について
(審議会の考え)
「電磁的情報」と「紙による情報」の違いですが、同じ場合も異なる場合もあります。市の個人情報を収集する場合の制限ルールといった意味では特に区別はありませんが、オンライン接続となるとその特性からより高度な保護措置が求められます。また、市の情報公開条例には具体的な定義が置かれていますが、「市民の請求に対する開示」については媒体の違いによる開示方法の違いがあります。この概念の将来の発展の可能性は誰にもわかりませんので、とりあえず伝統的な紙媒体と区別して使用しているということで、具体的な問題については区別することもしないこともあります。 - 説明責務の規定を設けるのは、行政側には有利に働き、市民の側には不利に働くのではないかとの意見について
(審議会の考え)
ご質問の趣旨がはっきりいたしませんが、条文に説明責務の規定が入ることにより、条文化された制度による手段のみで説明責務が果たされているという解釈がされるおそれがあり、市民の方に不利に働くという趣旨であると捉えますと
答申書の3頁の「3説明責務・知る権利」にあるとおり、請求による開示制度や公表制度、提供制度、会議の公開制度などの情報の公開制度は、互いに補完しつつ説明責務を果たすものですが、加えて必要な情報は、窓口の口頭で、あるいは図書館や行政資料室での閲覧等、制度の確立していない方法によっても取得し得るものであり、それらの手段が説明責務に基づかないものではありません。
他方、知る権利についても、この条例におけるこの文言から直接、義務や権利が生じるものではなく、個別具体的な規定(請求による開示の他、情報の公表、提供等)によって運用されるものと考えます。
従いまして、説明責務の規定が本条例に置かれることによって、特段行政側に有利になることではなく、この答申による提言は、個別具体的な制度の制定や改正をする上での基本的な指針となるものと考えます。
(木更津市の考え)
木更津市に現在あるの広義の情報公開制度のうち例えば情報公開条例の運用に当たっては、情報公開条例第7条により個人情報などの非開示とすることができる情報と情報公開条例第8条により法令の規定などにより開示することのできない情報が明文化され、それらの情報を除き全ての情報を開示しております。
このように非開示情報については、条文として定められ、当該条文に従って厳格に解釈を行いますので、「説明責務」の文言によって、開示の範囲が減少することはないものと考えます。
また、いまだ制度の確立していない任意的な情報の公表・提供等についてもこの答申の理念にのっとり、情報を公表・提供していく考えでおります。 - 個人情報等の保護が必要な情報は、インターネット環境よりもイントラネット環境の方が望ましいとの意見について
(審議会の考え)
ご意見のとおり、情報の公表、提供制度の充実及び情報通信技術の進展に伴う情報基盤の整備に伴い、情報の種類に応じた情報の公表方法などが検討され、それぞれ情報の漏洩がないような措置が講じられるべきと考えます。
答申案の2.各論-1管理情報の公表制度の中の説明の「このため、市のホームページや出版物による販売、市政情報コーナー等による閲覧等により市民が情報を取得し得るよう、積極的な公表を図るとともに…」の部分には、基盤整備に伴い、情報の公表の範囲を積極的に広げるとともに、公共施設のイントラ環境の情報端末やダイヤルアップ方式によるイントラ環境なども含めた公表方法の検討も含むものと考えています。
そして、答申案の2.各論-6個人情報保護制度の拡充・整備の(2)中の説明は、情報基盤整備に伴う、さまざまな電磁的情報としての情報の公表、提供制度の推進に伴い、それぞれの方法に応じた適切なセキュリティの確保を求めるものです。
(木更津市の考え)
個人情報をオンライン結合により提供する場合にあっては個人情報保護条例により、情報保護のための必要な措置が義務付けられており、条例に従った適切な運用を行っております。
今後、情報通信技術の進展や基盤整備に伴い、さまざまな方法による、情報の公表、提供などの情報の公開に努めるとともに、審議会の答申を尊重し、個人情報等保護すべき情報については、セキュリティに万全を期す考えです。
従いまして、情報の種類に応じ、インターネット環境での公表・提供、より保護の必要のあるものに対しては、公共施設等における情報端末の整備に応じたイントラ環境での情報の公表・提供、場合によっては、個人にパスワードを付与することによるダイヤルアップ方式のイントラ環境での情報の公表・提供も検討していきたいと考えます。 - 市役所で閲覧できる書類で複写や書き換え禁止のものについて、複写や書き換えなどのおそれはないかとの意見について
(木更津市の考え)
まず市役所で閲覧可能な書類は、法令で明示の禁止・制限のないものは複写複製できます(場所や料金は別の問題です)。法令で禁止されているものをポケット・コピーすれば単なる犯罪か違法行為です。「書き換え」も文書偽造や毀損なり著作権法違反なり、それなりの制約があるわけで、加えて電磁的情報についてはパスワードによる接続制限なり、不正侵入に対する技術的防御策や法律による対応がとられています。周知のことですが『複写や改竄が絶対にできない』技術は存在しませんし、それを取り締まったり防止したりするのは個別法・条例の問題ですので、この基本条例でとりあげる問題ではないと考えています。 - 補助金等の受給団体は、補助金受給団体等の公金について情報公開を行なうべきとの意見について
(審議会の考え)
市以外の法人等の団体の場合、市の出資法人については、情報公開条例第28条によって、情報の公開に関し必要な措置を講ずるよう義務付けをしているところです。
ところが、それ以外の団体等に対しては、条例による義務付けはなされていません。
税金の使途としての補助金については、市の情報公開条例に基づく開示請求があれば、市の管理する情報は開示しています。
このように補助金の使途に関する情報は、市が保有している情報については、情報公開条例により開示していますが、他方、補助金団体の方でも、補助金を受けている以上は、自主的に開示することが望ましいと考えます。
しかし、一方では、補助金交付団体は、あくまでも別個の法人、別個の組織であり、補助金交付団体の活動内容を市の情報公開の制度で縛るようなことは必ずしも適当ではないと考えます。
従いまして、審議会としては、少なくとも補助金受給団体等は、公金の使途についての情報公開に努めるべきとの指摘にとどめるものです。
なお、補助金受給団体の当否の問題などは、市が補助金を支出するという補助金の使い方の問題ですので行政改革審議会で検討すべきものと考えます。
まとめ
審議会から
提出いただいたご意見に基づき、答申書の3頁「3説明責務・知る権利」の部分に「なお、情報公開制度の運用に当たっては、行政の解釈は公開について消極に解すべきではない。」と入れさせていただきました。
意見募集による意見が多数寄せられたことにより、審議会における検討の幅が広がりました。審議会としては、このような手法をより拡大したいと考えています。
木更津市から
このような、広く皆様に対する意見募集につきましては、木更津市が木更津市環境基本計画の素案に対しても行っています。
今後は、制度化についても検討していきたいと考えます。
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更新日:2024年03月06日