所信表明
令和8年4月木更津市議会臨時会における所信表明です。
令和8年4月木更津市議会臨時会
令和8年4月22日、木更津市議会臨時会の議案の提案前に、議長のお許しをいただき所信表明を行いました。
常に初心を忘れることなく、真摯に市政運営に努めてまいります。
所信表明
このたびの市長選挙におきまして、市民の皆様から再び市政を託していただき、引き続き市政運営の重責を担わせていただくこととなりました。その一票一票に込められた思いの重みを深く受け止め、強い責任と覚悟をもって、この場に立っております。
私は、平成26年に市長に就任して以来、12年間、「将来に責任を持つ市政」を信念に掲げ、一貫して本市の盤石な基盤づくりに邁進してまいりました。
就任当初、本市は公共施設の老朽化という極めて深刻な課題に直面しておりました。庁舎や市民会館をはじめ、多くの施設が更新時期を迎え、また耐震性能に問題を抱える中で、財政的な制約を理由に結論を先送りにすれば、将来世代に過大な負担を残すことは明白でございました。
そこで私は、「将来に負担を先送りしない」という断固たる決意のもと、庁舎のあり方の抜本的な見直しや仮庁舎への移転、市民会館大ホールの利用停止など、時には市民の皆様にご不便をおかけする厳しい判断も下してまいりました。これらはすべて、本市の持続可能性を確保するために避けては通れない、将来への責任を果たすための決断であったと考えております。
また、人口減少社会という荒波を見据え、まちの構造そのものを再定義する取り組みを進めてまいりました。中心市街地はもとより、金田地域交流センターの整備などを通じて、地域ごとに暮らしを支える拠点を形成し、どこに住んでも安心して暮らせる「地域の核づくり」を推進してまいりました。
産業面におきましては、本市の最大の強みである東京湾アクアラインによる交通利便性を最大限に活かし、積極的な企業誘致と交流拠点の形成を戦略的に展開してまいりました。その結果、コストコ本社機能の移転や、ポルシェ・エクスペリエンスセンター、クルックフィールズといった新たな価値を生み出す拠点が次々と誕生し、さらに、かずさアカデミアパークには、国内外の優秀な人材が集うデロイトトーマツグループの企業内大学の設立が決定したところでございます。これらにより、木更津の持つ無限のポテンシャルを内外に力強く示すことができたものと確信しております。
さらに、地方創生の新たな旗印として「オーガニックなまちづくり」を掲げ、「自立・循環・共生」を軸とした独自の成長モデルを提示してまいりました。産業・創業支援センター「らづーBiz」による中小企業の伴走支援や、電子地域通貨「アクアコイン」の導入、そして「木更津市こども家庭センター」による切れ目のない子育て支援など、経済と暮らしの両面において、木更津らしい豊かさをかたちにするための種を蒔き、大切に育ててまいりました。
これらの12年間にわたる取り組みは、決して一朝一夕に成果が見えるものばかりではございませんでしたが、将来に向けた基盤となるよう一つひとつ積み上げてきた成果は、いま、確実に芽吹き、形になりつつあると実感しております。
しかし、その一方で、私たちを取り巻く環境は、これまで以上に大きく変化しております。少子高齢化による人口減少は確実に進行しており、地域の担い手不足やコミュニティの維持といった課題が現実のものとなっております。公共施設の更新についても、これからが本格的な実行の段階であり、財政運営の難しさは今後さらに増していくことが見込まれております。
また、地域経済に目を向ければ、外からの投資や交流が生まれ始めている一方で、その効果を地域全体にどう波及させていくかが重要な課題となっております。単なる「通過点」ではなく、「滞在し、関わるまち」へと進化できるかどうかが問われております。さらに、気候変動をはじめとする環境問題への対応も待ったなしの状況であり、地域としての具体的な行動が求められているところでございます。
そしてもう一つ、木更津の立ち位置として重要なのは、これまで積み上げてきた基盤が「準備段階」から「実行段階」へと移行しているという点でございます。
中心市街地の活性化、文化芸術拠点の整備、新たな産業や人の流れの創出など、いずれもこれからが本格的な勝負であり、ここで踏み出す一歩が、今後の木更津の方向性を大きく左右いたします。
このような状況を踏まえ、これからの4年間は、これまでの12年間で築いてきた基盤を確実に成果へとつなげる期間であると同時に、新たな魅力を創り出していく期間であると位置づけております。
今回の任期におきましては、これまでに築き上げた基盤をエンジンとして、「次の木更津へ。―安心・活力・未来がめぐるまちへ―」というビジョンを具現化し、市民の皆様がさらなる幸せ、ウェルビーイングを実感できる市政を推し進めてまいります。
第一の柱は「安心がめぐる、つながりの地域社会」の構築でございます。
安心とは、市民一人ひとりがこのまちで暮らし続けることに希望を持てることであり、その基盤は日々の暮らしの中にございます。
子育て支援については、学びや相談などを一体化した拠点として「子どもセンター」を設置し、保健師や心理士などのチームによる、妊娠期から高校生世代までの切れ目のない伴走型支援を徹底いたします。待機児童ゼロを目指すことはもちろん、朝・放課後・長期休暇における子どもの居場所づくりを強化してまいります。
また、シニア世代が主役となる「生涯現役プロジェクト」として、培われた知恵を地域に伝える「地域講師制度」や、軽作業を通じた「高齢者ミニジョブ制度」を創設し、生きがいを持って社会に参画できる環境を整えてまいります。
さらに、地域における見守り体制の強化や、福祉・医療・防災の連携を深めることで、誰一人取り残さないまちづくりを進めてまいります。その具体的な取組として、自治会活動の一部をデジタル化し、負担軽減することにより、若者や共働き世代の参加を促し、地域コミュニティの維持、活性化を図るとともに、地域主体の防災体制を強化する「停電しない避難所」の整備を進め、日常の安心を揺るぎないものにしてまいります。
第二の柱は「活力がめぐる、循環する地域経済」の確立でございます。
活力とは、人と人、地域と外部とがつながり、新たな挑戦と価値が生まれ続けることでございます。本市は、東京湾アクアラインによって都心と約40分で結ばれる交通利便性を持ち、干潟から里山へと連なる豊かな自然環境、そして自衛隊木更津飛行場という大きな地域資源を有しており、これらは、これからの本市の成長の核になるものと考えております。
単なる「通過点」から「滞在し、関わるまち」への進化を目指し、企業誘致のさらなる推進とともに、企業用地の提供にとどまらず、人材育成や交流の場づくりを通じて、新たな産業の創出を目指してまいります。
産業・創業支援センター「らづーBiz」においては、その諸機能を充実させ、中小企業や新規開業の支援を強化してまいります。
中心市街地については、パークベイ・プロジェクトを加速させ、駅前から港周辺、そして吾妻公園文化芸術施設までを一体的な回遊導線でつなぎ、人が集い、滞在し、活動するにぎわい空間を創出してまいります。
農林水産業については、地域資源としての価値を高め、観光や交流に連動した新たな展開を図ってまいります。具体的な取組として、農業支援センターによる耕作放棄地の解消や新規就農の支援を進めるとともに、「週末ファーマー制度」の創設などにより、農業に関わる人を増やし、農地と暮らしを次世代につなぐ仕組みを整えてまいります。
第三の柱は「未来がめぐる、持続するまちの基盤」の整備でございます。
未来とは、次世代に誇りを持って引き継ぐことのできるまちをつくることであり、そのためには、持続可能性の確保が不可欠でございます。
本市が持つ干潟や里山といった自然環境は、守るべき財産であると同時に、新たな価値を生み出す資産でもあります。これらの環境を保全しながら、教育や観光、地域活動と結びつけることで、自然と共生するまちづくりを進めてまいります。ホール機能、交流機能、図書・生涯学習機能を併せ持つ吾妻公園文化芸術施設、そして駅前庁舎に整備予定の市民交流プラザを拠点として、多世代が主体的に学び合う「市民大学」や、地域講師制度による講座を展開するとともに、子どもたちの探究学習を強力に支援し、市全体をキャンパスとする「学びの循環モデル」を構築してまいります。
また、脱炭素社会の実現に向けては、市民や企業とともに取り組むことが重要でございます。カーボンクレジットやオフセットの仕組みを活用し、地域全体で環境価値を創出することで、経済活動へとつなげていく循環の輪を構築してまいります。加えて、グリーンボンドの活用などにより、再生可能エネルギーの導入を進め、地域主導のエネルギー政策を推進してまいります。
さらに、これからのまちづくりは、行政だけで完結するものではございません。市民、企業、団体など多様な主体がそれぞれの力を持ち寄り、ともに地域をつくり上げていくことが、より一層重要となってまいります。こうした考えのもと、各地区のまちづくり協議会に「地域提案型予算」を導入するとともに、中学生から若手社会人までの声を集める「若者議会」を通じて、市民の皆様が政策づくりの当事者となる「共創」のまちづくりを深化させてまいります。
このほか、本市のポテンシャルを最大限に解き放つ戦略的プロジェクトとして、木更津飛行場を活用したプライベートジェットなどの乗り入れや関連産業の集積とともに、東京湾アクアラインや海上交通、次世代の空路により、対岸と結ばれる新しいゲートシティをめざす「木更津空港構想」を推進してまいります。
同時に、オーガニックなまちづくりの象徴的な存在となっている里山地域において、農泊をベースに、心を癒すリトリートな滞在型、体験型のまちづくりを進め、将来的には田園エリアなどへ展開し、木更津全体を「再生と循環のフィールド」へと育む「里山リトリート・ビレッジ構想」の実現に向けて、挑戦してまいります。
木更津は、人と人との距離が近く、挑戦が形になりやすいまちでございます。この特性を最大限に活かし、「木更津だからできる」「木更津で挑戦したい」と思っていただけるまちへと進化させていくことが、これからの使命でございます。
木更津は今、確実に次の段階へと進もうとしております。これまでの積み重ねを、確かな成果へと結びつけることができるかどうか、その正念場にあります。この局面に臨むにあたり、これまで培ってきた経験とネットワークのすべてを注ぎ込み、市政をさらに前へと進めていく決意でございます。
議員並びに市民の皆様におかれましては、引き続きのご指導とご協力を賜りますようお願い申し上げますとともに、皆様の負託に応えるべく、全力で市政運営に取り組んでまいります。
結びに、木更津市のさらなる発展と、市民の皆様のご健勝とご多幸を心から祈念申し上げ、私の所信表明とさせていただきます。ありがとうございました。
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更新日:2026年04月23日